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潰瘍性大腸炎(UC)
潰瘍性大腸炎(UC)とは?
潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸の粘膜(内側の層)に潰瘍やびらんを引きおこす病気で難病に指定されています(指定難病97)。血便を伴う下痢や腹痛が特徴的な症状で、病変は直腸から始まり、上行性に広がる傾向があります。この病気は、病変の範囲や病気の進行によって、次のように分類されます。
病変の範囲 | 全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型 |
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病期の分類 | 活動期、寛解期 |
重症度 | 軽症、中等症、重症、激症 |
臨床経過 | 再燃寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型 |
潰瘍性大腸炎(UC)はめずらしい病気ですか?
日本では潰瘍性大腸炎の患者数は約166,060人で、人口10万人あたり約100人です。これは米国の半分以下です。
発症傾向
発症のピークは、男性で20~24歳、女性で25~29歳ですが、全年齢層で発症します。男女比は1:1で、虫垂切除や喫煙歴が発症リスクに影響を与えることが示されています。
潰瘍性大腸炎(UC)の原因は?
潰瘍性大腸炎の正確な原因はまだ明らかではありません。腸内細菌の関与、免疫反応の異常、食生活の変化などが考えられていますが、原因は不明です。
潰瘍性大腸炎(UC)は遺伝しますか?
潰瘍性大腸炎は家族発症の例もあり、遺伝的要因が関与するとされています。欧米では約20%が近親者に炎症性腸疾患を有しています。多くの関連遺伝子が特定されていますが、これらを持っていても必ず発症するわけではありません。
潰瘍性大腸炎(UC)の症状は?
潰瘍性大腸炎(UC)の典型的な症状
- 下痢
- 血便
- 痙攣性または持続的な腹痛
重症化したら見られる症状
発熱、体重減少、貧血など全身症状が現れることもあります。また、腸以外にも皮膚や関節、眼の症状が出ることがあります。
潰瘍性大腸炎(UC)はどのように診断する?
診断は症状の経過と病歴を患者様よりしっかりとお聞きすることから始まります。感染症との鑑別が必要で、その後にX線や内視鏡による大腸検査がおこなわれます。大腸粘膜の生検による病理検査で他の大腸疾患との鑑別診断もおこないます。
潰瘍性大腸炎(UC)の治療法は?
原則として薬物治療がおこなわれますが、重症例では外科手術が必要な場合もあります。治療の目的は炎症を抑え、症状をコントロールすることです。治療には5-アミノサリチル酸、副腎皮質ステロイド、免疫調節薬、抗TNFα拮抗薬をはじめとする各種生物学的製剤、JAK阻害薬、血球成分除去療法などがあります。重症例や薬物治療が効かない場合には外科的手術が検討されます。
治療の主な目的は「生活の質(Quality of Life: QOL)の向上」です。これは、病状を管理し、健康だった時と同様の生活を送ることを治療の目標とすることを意味しています。
当クリニックは個々の患者様のQOLをしっかり把握し、
それに合った治療をご提案させていただきます
潰瘍性大腸炎(UC)と診断されたら…
潰瘍性大腸炎は、多くの場合は症状の改善や消失(寛解)が見られますが、まれに再発することもあります。そのため継続的な内科治療が必要で、一部は手術が必要になる場合もあります。また、病気の長期経過により大腸癌のリスクが増加します。しかし、ほとんどの患者様の生命予後は健常者と同等です。